近年の住宅では断熱性能が向上していますが、一方で内部結露被害の危険性も高まっています。気密施工を怠った住宅では、何年も過ごした後にこの問題に直面するのです。これは断熱材を厚くすれば良いという問題ではありません。しっかりとした気密施工を行い湿気をコントロールすることで断熱材の性能が発揮されるのです。暖かく、耐久性のある住宅にするためには断熱と気密はセットだということをしっかりと理解しましょう。
【恐ろしい内部結露】
内部結露の発生は住宅の耐久性を脅かす
気密性能が低い、つまり家に隙間があると空気の流れと共に熱や水蒸気が出入りし壁内の結露(内部結露)の原因にもなります。結露の発生は室内を不快なままにするだけでなく、腐朽菌を繁殖させ、構造体の腐朽につながります。また湿度を好むシロアリが発生し、腐った木材を食べ繁殖を促す原因ともなります。内部結露が起きてしまうと住宅そのものの耐久性を脅かす可能性があるので、必ず対策しなくてはいけません。
【内部結露しやすい家】
防湿気密シートの張られていない住宅
結露しやすい家とは❶壁と天井の取合いや❷壁と床の取合い、❸コンセント・スイッチボックスなどに多くの隙間があり、風や内外温度差による圧力の影響を受け、壁内に空気が流出入します。すると隙間から空気が壁の中に引き込まれることになります。これが冬なら、床下からは冷たい空気が、室内からは暖房で暖められた空気が壁の中に入ってくることになります。❹壁の中の冷たい部分に❺湿った暖かい空気が触れると、結露が発生し、これが❻内部結露の原因となります。木材を腐らせ家の耐久性に問題が生じます。
【内部結露しにくい家】
ポイントは防湿気密と通気層にあり
結露しにくい家において、まず第一に重要なのは①防湿気密層を設けることです。防湿気密シートは、床、壁、天井(屋根)の室内側にしっかりと張ることで壁内、屋根裏、床下への湿気や水蒸気の侵入を減少させます。
次に必要なのは②軒換気や③棟換気と連動した④通気層を設けることです。外気から侵入した湿気や、室内から漏れた水蒸気を速やかに排出するには、通気層と棟や軒との連動が必要不可欠です。壁内を乾燥状態に保つことが内部結露の防止に重要です。
【防湿気密シートの役目】
湿気の侵入を減少させる
繊維系の断熱材は通気性がある為、湿度変化や風の圧力差などで空気の流れが発生(湿気が侵入)し、結露してしまいます。防湿気密シートはこの湿気の侵入を減少させえる役目をもちます。断熱層の室内側にポリエチレンフィルム等の防湿気密層を隙間なく施行する事が高気密住宅にとって重要なのです。なぜなら長い年数に渡って躯体を乾燥状態に保つことこそが、住宅を長持ちさせる秘訣だからです。
【通気層の役目】
侵入した湿気を外部に放出
壁内部への湿気の侵入を完全に防ぐことは、どんな気密工法であっても難しいと言えます。この侵入した湿気を防ぐには、断熱材の外側に通気層を設けることが必要です。通気層は断熱層内に侵入した湿気を速やかに外部に放出し、内部結露を防ぐ役割を持ちます。
他にも通気層と外気の気圧を同じに保つことにより、暴風雨時における壁への雨水の浸入を最小限に抑える効果、また夏期の日照時に通気層の通風によって壁の温度上昇を抑える効果もあります。通気層は住宅の耐久性を上げるために非常に重要です。